ブラック企業の体験談を書こうと思います。
とはいえ、当時の私は自分がブラック企業にいるという自覚をほとんど持っていませんでした。
今振り返れば実態はかなり危険だったのに、渦中にいた頃はずっと
「まだ大丈夫」
「自分はやれている」
「辞めるほどではない」
…と思い込んでいたのです。
この記事は、その「まだ大丈夫」という思考がどうやって作られ、どうやって壊れていったのかを振り返る記録です。
同じように迷っている人にとって、少しでも判断材料になれば幸いです。
当時の私は“ブラック企業”だと認めていなかった
当時の職場は、誰が見ても分かるような地獄ではありませんでした。
怒鳴られるわけでもなく、残業代が未払いというわけでもなく、給料もしっかり毎月入っていました。
だから私は、「ここはブラック企業ではない」と自分に言い聞かせていました。
確かに辛さは感じていたのに、「もっとひどい職場はあるはずだ」「自分が甘いだけかもしれない」「社会人ならこれくらい普通なのかもしれない」と考えてしまっていたのです。
明確な違法行為や分かりやすい異常がないほど、人は自分の感覚の方を疑い始めます。
そして自分の感覚への疑いが、我慢を正当化する理由になっていったのです。
「まだ大丈夫」と思い込んでいた理由
今なら分かりますが、あの頃の私は冷静に判断して「まだ大丈夫」だと思っていたわけではありませんでした。
そう思い込まないと、そこで働き続けることに耐えられなかっただけです。
そしてここからは、「まだ大丈夫」という思い込みの原因を振り返っていきます。
理由①:周りも耐えていたから
職場の空気はいつも似たような表情でした。
みんな疲れているのに働いていて、不満はあるのに誰も大きくは口にしない。
そして「みんな大変だけど頑張ってる」という空気が、いつの間にか職場の基準になっていました。
周りが耐えていたので、「自分も耐えなければ」という考えになってしまったのです。
理由②:仕事は できていたから
仕事は一応回せていましたし、上司からの評価もそれなりにはありました。
だから「自分はまだ大丈夫だ」と思えてしまいました。
この感覚はかなり強い罠です。
人は壊れる直前まで働けてしまうので、働けているうちは「限界ではない」と判断しがちだからです。
しかし、働けていても、心身へのダメージは じわじわと蓄積されていたのです。
理由③:辞める理由が“弱い”と感じていたから
明確なパワハラがあるわけではない。
残業代の未払いがあるわけでもない。
法律違反だと断定できる材料もない。
だから私は、「辞めるのは甘え」だと思っていました。
本当は「辞めたい」という感情が出ているのに、その気持ちを自分で否定していたのです。
この状態が続くと、感覚は鈍っていきます。
つらいのに「つらい」と言えず、苦しいのに「苦しい」と認められなくなります。
そして、自分の感情を抑えつけるほど、ストレスはたまっていき、判断力はどんどん低下していったのです。
ブラック企業 勤務での ”メンタルの悪化”
ブラック企業に勤めていると、メンタルにダメージが溜まります。
すると、メンタルに悪影響が出ます。
どんな悪影響があったのかを、解説していきます。
悪化①:休日を楽しめない
法定休日も、とうぜんありました。
しかし、「休日を楽しむ」という感覚がありませんでした。
朝起きても疲れていて、外に出る気力はなく、気づけば寝て終わる。
買い出しや洗濯など最低限のことをして、一日が終わっていました。
本当は好きだったはずの趣味にも手が伸びないのに、当時の私はそれを「年齢のせい」「ただ疲れているだけ」と片づけていました。
でも実際には、休日が回復になっていない時点で、すでにかなり危ない状態だったのだと思います。
悪化②:感情が荒れる、あるいは鈍る
些細なことでイライラする日がありました。
その一方で、逆に何も感じない日もありました。
笑う気がしなくなり、誰かと話すのも面倒になっていきました。
それでも私は、「自分の性格が悪くなったんだ」「自分が弱いんだ」と誤解していました。
けれど、実態は「余裕がなくなっていただけ」だったのです。
余裕がなくなれば、人は誰でも精神が荒れやすくなりますし、感情が鈍ることもあります。
感情の変化は性格の問題ではなく、負荷が強すぎるというサインでした。
悪化③:判断を先延ばしにする癖がつく
辞めるかどうかを考えると、面倒で怖くなり、私はいつも先延ばしにしていました。
「繁忙期が終わったら考えよう。」
「少し落ち着いたら考えよう。」
「もう少し慣れたら考えよう。」
そんなふうに先送りしているうちに、数年間もの時間が経っていました。
ブラック企業は、こちらが落ち着く間も与えず、どんどん仕事を持ってきます。
だから「落ち着いたら考える」は、永遠に実行できないのです。
そして、先延ばしが習慣になってしまう。
でもそれは意志の弱さではなく、極度の疲労が原因です。
決断にはエネルギーが必要です。
しかし、ブラック企業での業務で、そのエネルギーが枯渇していただけだったのです。
決定的だった出来事
ある日、体調を崩してしまいました。
もはや体調を崩す事 自体は珍しいことではありませんでした。
しかし、そのとき頭に浮かんだことが決定的でした。
私は、「自分は、休むべきか どうか」より先に、「仕事が回るか どうか」を考えていたのです。
つまり、”自分の体調”より”仕事の進捗”を優先し、”自分の心身”より”職場の都合” を優先していたのです。
そのことに気づいた瞬間、「自分は、優先順位が壊れている」「職場を最優先に考えてしまう思考回路に 書き換えられている」と、うっすら理解したのです。
この気づきを得た時、正直ブラック企業に対して強い恐怖を感じました。
振り返って分かったこと
ブラック企業の実態は、派手な暴力や分かりやすい違法だけではありません。
静かに心身を削り、休日を回復に専念させ、判断を鈍らせることで、抜け出しにくい精神状態を作ることに、怖さがあるのです。
壊れる直前まで、人は「まだ大丈夫」と思い込みます。
それは根性でも強さでもなく、判断力が低下しているだけだったのです。
もしあの頃に戻れるなら
もしあの頃に戻れるなら、私は「いきなり辞める」という決断はしません。
しかし、「他社との比較」はします。
他社の求人を見て給与相場を知り、同じ仕事でも待遇がまったく違う会社があることを知るだけでも、自分の職場がどれほど異常だったのかが見えてきたはずです。
そして、一人で抱え込まないようにします。
職場の基準に染まっているときほど、自分だけでは判断が戻りません。
だからこそ、他者の基準、世間の基準を知って、できる限り正常な感覚を取り戻した状態で選び直すことが必要でした。
「まだ大丈夫」という思い込みを崩すには、自分の内側だけで考え続けるのではなく、世間の基準を入れることがどうしても必要なのです。
まとめ
このブラック企業の体験談で伝えたいのは、わかりやすいブラック企業ばかり ではないということです。
ブラック企業は、静かに心身を削ってきます。
だから「まだ大丈夫」という感覚は、安心材料ではなく むしろ危険信号なのです。
基準にすべきなのは、違法かどうかだけではありません。
- 休日が回復になっているか。
- 感情が保てているか。
- 判断を先延ばしにしていないか。
こうした点を見たほうが、客観的な判断ができます。
もし今、あなたの中に違和感があるなら、それは危険シグナルです。
「まだ大丈夫」と思っていても、すでに余裕が削られている恐れがあるのです。

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